気になる子シリーズ 具体的なかかわり

具体的なかかわり

理念
「つながる保育」から「つながる社会」へ

基本方針
日本保育者未来通信では、理念である「つながる保育」から「つながる社会」へをもとに
一人ひとりの「素質」十分に理解し、もっている持ち味を発揮できるようにかかわります。
そのため、「気になる子」へのかかわりの基本方針として「自分を知り、自分でコントロールできるようになる」を挙げています。
これは、目が悪い人が眼鏡をかけて生活するよう、気になる子も自分の苦手なところを理解し、他者の援助が必要な場合は求めながら自ら生活するイメージです。
そのため、社会的ルールを当て込むというのではなく、子どもたちの興味・関心をもとに、自ら着実に学んでいけるよう支援していきます。

○個々のかかわりの大切さ)
・子どもたちは園生活の中で意識しなくても自然と、友だち関係やルールを守るなどの対人関係、また食事をする、排泄をするなどの生活習慣を学んでいきます。しかし、気になる子の場合、苦手な部分があることによって、自ら自然と学ぶことが難しい場合があります。そのため、個々の特性に応じて伝えたり、かかわることにより、一人ひとりの経験が生活の中で流れてしまうのではなく、着実な学びへとつながると考えます。このようなかかわりをすることで、子ども自身が自然と生活の中で学び、自分で経験を積み、個々のペースで成長できるようになってくると考えます。
・園生活という集団の中では個別に一つひとつ伝えることが難しい場合もあります。しかし、できる限り個々の特性に応じたかかわりをすることによって、「できない」「トラブルを起こす」などの否定的な経験でなく、「できた」「こうやってやるのか」などの肯定的な経験を積んでいくことが可能になります。また、個々の状況をよく観察することで、「その場ですぐに褒める」や、「適切な対応」が可能になり、これはその後の二次障害の予防と同時に自己肯定感の育みへと繋がります。

○具体的かかわり
・同じ診断名だとしても、個々の状況は非常に異なります。そのため、「個性と環境」からアセスメントを十分に行ったうえで、個々に合わせたかかわりが基本となります。その中で、「気になる子」への共有のかかわりとして大切にしていることがあります。

○共有のかかわり
①ほめる
・気になる子の場合、脳に何らかの処理することが苦手な部分がある可能性があります。そのため、本人は意識しなくても、感覚過敏や鈍麻、衝動性や多動性などから、パニックや自己刺激行動、自傷行為、常同行動などになってしまう場合があります。そのため保育者は、その特性を理解した上で、少しでもできたことを意識してほめていくことが大切です。なぜなら、保育者や通常の年齢からすると当たり前の行動だとしても、その子にとっては非常にがんばっているかもしれないからです。また、ほめることを意識することで、ドーパミンによる脳機能の活性化につながるとともに、大変な部分ばかりに目が行くのでなく、その子の良い部分に目が行くようになり、これは自己肯定感を高める働きかけにつながると考えるからです。

➁具体物(視覚)から抽象(言語・非言語)へ
・言葉や表情などの非言語は理解が難しい場合があります。そのため、まずは実物や絵カードなどを使い、本人の特性に応じて理解しやすいかかわりを探ります。私たちも海外に出かけて文字が読めない場合、絵でトイレの場所などが示されていたら分かりやすいですよね。こうした分かりやすい具体物(視覚)から、徐々に抽象物(言葉・非言語)などのような抽象的なかかわりへ変えていくことにより、子ども自身が自然と生活の中で学び、自分で経験を積み、個々のペースで成長できるようになってくると考えます。

③100%支援から支援を徐々に減らしていく
・例えば「靴下を履く」という動作にしても、はじめは「すべて履かせてあげていた」のを、徐々に「つま先まで靴下を通す」「靴下の向きだけ揃える」「言葉だけで伝える」のように支援を減らしていきます。これは、園生活の中で子どもの成長に合わせて支援を減らしていく感覚に近いものがあります。「その感覚」と「その子の特性」を照らし合わせながら、徐々に支援を減らしていき、自分で経験できるようにしていきます。

④スモールステップ
・上記の「靴下を履く」を例にすると、「はじめからすべて自分で靴下を履く」のでなく、まずは「自分で靴下を持ってくる」「つま先まで履いてみる」など、すべてできるまでのプロセスを小さなステップに分けて取り組みます。そして、その小さなステップができるごとにほめていくことで、自信や意欲へとつなげ、自ら着実に学んでいけるようになると考えます。
⑤インクルージョン(みんなで見る)
・特性に応じた個々のかかわりは非常に大切ですが、特別扱いという意識ではなく、「どの子も特性をもっており、その子に合わせたかかわり」が大切という考え方です。「一人ひとりに合わせたかかわりをする」ということがどの子にとっても大切だということに違いはありません。このような考えの中で、例えば「遊ぶ空間を分かりやすいようにコーナー保育にする」ことや、「片付けの場所が分かりやすいよう、絵カードの写真を玩具棚につける」などは、どの子にとってもわかりやすいかかわりではないでしょうか。このように、「気になる子」も含め、生活しやすい環境を整えることは、どの子にとっても生活しやすい環境につながると考えます。また、一人の保育者や限られた保育者が気になる子の対応をするというのではなく、園全体でその子の成長やかかわりを見守り、みんなで見ていくという意識が非常に重要です。これは、人類が生き延びてきた理由の一つとして考えられる、共同養育であり、本来の子育ては、一人でするものではなく、みんなでかかわりながら、育てていくことが自然ではないでしょうか。これは「気になる子」へのかかわりだけでなく、子どもへのかかわりを考えた時に、共通する部分ではないでしょうか。

⑤インクルージョン(みんなで見る)
・特性に応じた個々のかかわりは非常に大切ですが、特別扱いという意識ではなく、「どの子も特性をもっており、その子に合わせたかかわり」が大切という考え方です。「一人ひとりに合わせたかかわりをする」ということがどの子にとっても大切だということに違いはありません。このような考えの中で、例えば「遊ぶ空間を分かりやすいようにコーナー保育にする」ことや、「片付けの場所が分かりやすいよう、絵カードの写真を玩具棚につける」などは、どの子にとってもわかりやすいかかわりではないでしょうか。このように、「気になる子」も含め、生活しやすい環境を整えることは、どの子にとっても生活しやすい環境につながると考えます。また、一人の保育者や限られた保育者が気になる子の対応をするというのではなく、園全体でその子の成長やかかわりを見守り、みんなで見ていくという意識が非常に重要です。これは、人類が生き延びてきた理由の一つとして考えられる、共同養育であり、本来の子育ては、一人でするものではなく、みんなでかかわりながら、育てていくことが自然ではないでしょうか。これは「気になる子」へのかかわりだけでなく、子どもへのかかわりを考えた時に、共通する部分ではないでしょうか。