気になる子シリーズ (自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害) 診断基準等①
(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
○診断基準
A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥があり、現時点または病歴によって、以下により明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない;本文参照)
(1)相互の対人的‐情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやりとりのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開発したり応じたりすることができないことに及ぶ.
(2)対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、統合のよくない言語的と非言語コミュニケーションから、視線を合わせることと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ.
(3)人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ.
▶現在の重症度を特定せよ
重症度は社会的コミュニケーションの障害や、限定された反復的な行動様式に基づく(表2参照)
B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下の少なくとも2つにより明らかになる(以下の例は一例であり、網羅したものではない;本文参照).
(1)常同的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同行動、反響言語、独特な言い回し).
(2)同一性への個室、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食べ物を食べたりすることへの要求)
(3)強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する意味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)
(4)感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触覚に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)
▶現在の重症度を特定せよ
重症度は社会的コミュニケーションの障害や、限定された反復的な行動様式に基づく(表2参照).
C.症状は発達早期に存在していなければならない(しかし社会的要求が能力の限界を超えるまでは症状は完全に明らかにならないかもしれないし、その後の生活で学んだ対応の仕方によって隠されている場合もある).
D.その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある障害を引き起こしている.
E.これらの障害は、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延ではうまく説明されない.知的能力障害と自閉スペクトラム症はしばしば同時に起こり、自閉スペクトラム症と知的能力障害の併存の診断を下すためには、社会的コミュニケーションが全般的な発達の水準から期待されるものより下回っていなければならない.
注:DSM-Ⅳで自閉性障害、アスペルガー障害、または特定不能の広汎性発達障害の診断が十分確定しているものには、自閉スペクトラム症の診断が下される.社会的コミュニケーションの著しい欠陥を認めるが、それ以外は自閉スペクトラム症の診断基準を満たさないものは、社会的(語用論的)コミュニケーション症として評価されるべきである.
▶該当すれば特定せよ
知能の障害を伴う、または伴わない
言語の障害を伴う、または伴わない
関連する既知の医学的または遺伝的疾患、または環境要因(コードするときの注:関連する医学的または遺伝学的疾患を特定するための追加コードを用いること)
関連する他の神経発達症、精神疾患、または行動障害(コードするときの注:関連する神経発達症、精神疾患、または行動障害を特定するための追加コードを用いること)
緊張病を伴う(定義については、他の精神疾患に関連する緊張病の診断基準を参照せよ.118頁)〔コードするときの注:緊張病の併存を示すため、自閉スペクトラム症に関連する緊張病293.89(F06.1)の追加コードを用いること〕
DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル参照