特性を生かした支援

特性を生かした支援
【臨床心理士からのコメント】
「発達特性をもつ子」へのかかわりを考えます。
まず、第一に、「いまの価値観に無理に合わせようとしない」ということです。
そして、第二に「特性を見極める」ということです。
「発達特性をもつ子」は、私たちが持っている感覚とは違う感覚を持っているかもしれません。その感覚が、現代が作ってきている社会には適応できない、適応しづらい為、本人も社会も困るということです。しかし、現代社会も一つの「枠組み」であり、その「枠組み」に当てはめることは、自然な流れとは反します。この社会も、私たちが受けてきた教育も「一つの枠組み」にしか過ぎません。それに振り回される必要はありません。それとどう付き合っていくかです。
「特性を持った子」もまずは、「特性は何か」を見極め、それがどう生かされるかを考えて行くことが自然です。

それでは、どのように「特性」を見極めるか?

「その子の好きなこと、得意なことを知る」ということです。例えば、1人の男の子が、「運動、ビー玉転がし」が好きだったとします。
好きなことというのは、その子にとって「自然」なことです。一定の社会の枠組みから要請されることではないのです。良い子が一定の枠組みにはめられつづけ、真面目な方が一定の枠組みを守りすぎて、苦しくなってしまうこととは違います。
例えば、運動とビー玉転がしが好きであれば、そこを十分に認め、遊びが発展、幅が広くなるように援助していくことです。実は、その発展系が、私たちがいましている「仕事」につながるのではないでしょうか。
また、好きな遊びを通して、その子が苦手とする分野(会話、感情のコントロールなど)も必要性をもち経験を積んでいけるかもしれません。
そのため、「一定の価値観を当てこむ」「それができることを良しとする」から始まるのではなく、「その子の特性を生かす」という視点から始まります。

本当は「発達特性をもつ子」だけでなく、誰もがそのように小さい頃から支援することが「特性を生かした社会」です。しかし、多くの子は「社会の一定の枠組み」に順応し、そこでの評価を求めて行くため、社会的な評価は得られても、それよりはるかに大きい、自分(身体)の中での一致は得られないのではないでしょうか。