特性を理解し、特性を生かす

保育者
「すぐに怒ってしまうな・・・」
「友だちを叩いてしまうな・・・」
「落ち着きがないな・・・」

○子どもはすでに十分にがんばっています
 園で集団行動が求められる状況では、発達障害の特性をもつ子どもは、「ちょっと気になる子」として保育者の目に映ります。しかし、周囲を困らせてしまう子どもは、実は困っている子どもであり、理解と支援を必要としている子どもです。目の前のその子はすでに十分にがんばっていて、必死にSOSを発信している子ども。そういったまなざしをもつことが大切です。

一人ひとりに寄り添ったSTEP支援
STEP1
・その子の特性や、どういった場面で「困った行動」が表れるかを振り返る。

STEP2
・「この子はこんな風にしたら集中できる」「こういう言葉がけをすると乱暴な行動が減る」というような、具体的な支援方法を検討し、実践する。

STEP3
・いままでのやり方とは違うかもしれないが、特性をもつ子どもには、配慮のある適切な対応が必要。手探り、試行錯誤で良いので、STEP1、STEP2を実践する。

【臨床心理士からのコメント】
・発達障害の特性があっても、小さい頃から周りに理解されて育った子どもの中には、安定した状態で幼少期を過ごし、希望に満ちた人生を歩む人が多くいます。一方で、小さい頃から周りの理解がなく、誤解のなかで過ごした子どものなかには、強い劣等感や心の傷つきを抱えて大人になる人もいます。
 子どもの特性を理解し、その子にあった配慮と支援ができれば、子どもを傷つけずに、やる気を引き出していくことができます。その子の成長と発達を見守りながら、その子が自分自身のことを好きになれるように、楽しい時間が過ごせるように、その子のいいところをたくさんみつけていくことが大切です。一定の社会ルールの「枠組み」ができるようになる、という視点ではなく、社会のルールという「枠組み」に、「その子がどのようにかかわっていくか」「特性を生かしていくか」という、発想の転換が必要です。これは、特性をもった子に対してだけでなく、どの子に対しても大切な視点ではないでしょうか。