ADHD【注意欠如・多動症/多動性障害】
【ADHD(注意欠如・多動症/多動性障害】
胎児期と出生後の遺伝・環境要因が多いといわれており、脳の形態以上や機能異常が報告されています。ADHDは子どもの3~5%にみられる、めずらしくない障害。女子よりも男児に多く、集団生活の中で目立つ傾向があります。平均的にみれば、40人学級に1~2人いる頻度の高い、ありふれた障害。男の子に多く、女の子の5~6倍いるといわれています。前頭前野と呼ばれる部分がうまく働かないために、意志をもって集中したり我慢する力が弱いのがADHDの特徴。診断にはばらつきが多く、診断を受けていない子どもが多く存在することが示唆されています。
ADHDには次の3つのタイプがあります。
①不注意が優位なタイプ
➁多動性・衝動性が優位なタイプ
③両方の症状をもっているタイプ
【不注意の要因】
○ドーパミン
・意志をもって集中したり我慢する力に関連する物質。細胞同士の間を行き来して電気信号を伝えています。その働きが十分でないと、集中力を持続することができなかったり、たくさんの情報を参照しながら活動計画を立てるのが困難だったりします。
○実行機能
・複雑な情報の中から活動計画を立てて、それを実行する働きを、実行機能と呼びます。自分の状態を把握しながら、その場にふさわしい行動を計画し、実行し、調整する働きもあります。健常な子どもたちならば、保育者の話の中から余計の部分を切り捨てて、必要な情報だけを抜き出すことができます。しかし、ADHD児は、たくさんの情報から必要な部分にだけ注意を向けるのが困難です。
○ワーキングメモリ
・作業記憶(または作動記憶)と訳されています。以前は短期記憶と呼ばれていましたが、現代では短期記憶はワーキングメモリの一部として扱われています。ワーキングメモリには、耳から入力された音声の情報を保持する働き(音韻ループ:例えば、言葉での記憶など)と、目から入力された画像の情報を保持する働き(視空間スケッチパッド:例えば、言葉では記憶しておくことが難しい、人の動きなど)がある。