気になる子シリーズ ASD(自閉スペクトラム症)①

発達障がいは、発育期の脳に何らかの要因が加わり、発達が阻害された結果、運動、行動、言語の遅れなど様々な症状で、発達に障がいをきたした状態です。
同じ診断名であっても、子どもへの対応は一人ひとり異なりますが、ここではASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(限局性学習症)など、発達障がいとして代表的な障がいを学びましょう。

ASD(自閉スペクトラム症)の子ども
障がいの特性の理解の中で最も重要なのがASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちへの理解です。ここでは概要を学びましょう。ASDには、「知的障がいのあるASD」と「知的障がいのないASD」があります。
ASDは、2つの軸に分けて理解すると分かりやすいです。1つ目の軸はASDの程度、もう1つの軸は知的障がいの程度です。

➀:ASDがどちらかというと重く、知的障がいがある
➁:ASDがどちらかというと軽く、知的障がいがある
③:ASDがどちらかというと重く、知的障がいはない
④:ASDがどちらかというと軽く、知的障がいはない
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実際には、このようにはっきり分かれるわけではなく、それぞれの区切りのまん中あたりに属すると思われる子どもは大勢います。健常な子どもから重度の自閉症がある子どもまでのあいだには、はっきりした境界はなく、境界線は連続体であるため、自閉スペクトラム症(ASD)あるいは自閉症連続体と表現することがあります。

ASDは目に見えない脳の障がいであるために、人びとに誤解されることが非常に多く、親子を苦しめてきました。
また、うつ病とは異なり、先天的な脳の疾患による障害です。愛情不足やしつかが原因でASDになることはありません。ASDは治ることはありませんが、早期から良い支援を受けることで本人の不安が和らぎ、社会適応が良くなるケースは多くあります。
ウイングという意志がASDの症状を3つにまとめました。これをウイングの三つ組といいます。

ウイングの三つ組
➀対人関係の障がい(社会的相互作用の欠如)
➁コミュニケーション障がい
③想像力の欠如

多くは3歳以前に発症し、1歳半までに診断可能です。女児よりも男児が多く、およそ3対1です。

今後、シリーズとしてさらに紹介していきます。

※障害児保育ワークブック(萌文書林)参照