気になる子シリーズ ASD(自閉スペクトラム症)➁
○ASDの子どもの感覚
ASDの子どもを支援するうえで理解が必要と考えられるのは以下の3つです。
➀多数派の私たちと異なる感覚をもっている
➁多数派の私たちより繊細で感受性が強い
③多数派の私たちより不安が強い為、安心できる環境を好む
感覚過敏さ、繊細さ、不安が強いという点が元々の原因で、特定の刺激にこだわったり、社会性がないように誤解されたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりすることが多くあります。では、これらについて実例を紹介しながら、考えてみましょう。
人間は五感(見る・聞く・さわる・味わう・嗅ぐ)を使って生活し、コミュニケーションしています。ASDの子どもたちは、五感の感覚が私たちとは異なるということです。
ASDの子どもによく見られる行動
・坂道を極端に怖がるかと思えば、高いところに平気で登る
・白いご飯しか食べない
・水が大好きで、ずっと水をさわって遊んでいる
・初めての道や場所に対してパニックになる
・手をヒラヒラさせたり、ぐるぐる回る
・繰りかえしのある歌やリズムが大好き
では、自分の五感について考えながら、もし感覚に違いや過敏性があったら、日常生活でどのように困るかを考えてみましょう。子どもが生活や遊びのなかで、どのように五感を使っているのかを「見る・聞く・さわる・味わう・嗅ぐ」に分けて、考えてみましょう。もしその感覚が人と異なって過敏だったり、鈍感だったりしたら、どんなことが起こるでしょうか。ASDの子どもたちの世界を想像してみましょう。
ASDの子どもは、これらの例のように、多数派の私たちとは異なる感覚をもっています。なかでも、見え方、聞こえ方、匂い、身体の感覚、皮膚の感覚、さわったときの感じ方などは、私たちより敏感であったり、鈍感であったりします。それらの感覚の違いによって、遠くのものが近くに見える、突然の大きな音が爆発音のように聞こえる、というような私たちと異なった繊細な、もしくは鈍感な感覚を持ち合わせていることがあります。
それらの感覚の違いを理解していることが大切です。我慢を強要しても、訓練でよくなることはなく、感覚の違いや痛みを和らげるには、まず信頼関係を築き、環境を調整します。
そこで、始めに保育所や幼稚園のなかにも、安心できるスペースをつくってみます。一時避難できるお休み処やリソースルーム、スペースなどが周囲にあれば、「感覚過敏」といわれる感覚の違いも和らげることができます。休む場所があること、安心できる人が近くにいることが重要なのです。
※障害児保育ワークブック(萌文書林)参照