遊び 0歳児
遊び
ねらい
・保育者と一対一のかかわりを通して、感覚(五感)を使った遊びや、手先を使った遊びを楽しむ
全身運動
・把握反射、モロー反射、非対称性反射、パラシュート反応などの反射活動が見られ、身体の一つひとつが未分化な状態から、周囲とのかかわりを通して、身体一つひとつを発見し、分化していく。4ヶ月を過ぎる頃になると、腕、手首、足は自分の意思で動かせるようになる。5ヶ月頃には、支えていた腕を横に伸ばし、頭を上げて体を反らし足を伸ばす、いわゆる飛行機のような格好(グライダーポーズ)をよくするようになる。手を開いて体を支えられるようになることは、手指を開閉し、物をしっかりつかめるようになることを表している。腹ばいにすると手を突っ張って上体を持ち上げたり、保育者の親指を握らせて引き起こそうとすると、上体を起こす姿も見られるようになる。また、寝返りをしそうになったりする。6ヶ月頃には寝返りも見られ、お座りもできるようになってくる。お座りの姿勢をとることで、今まで水平に見ることが多かった周辺を、高い位置から眺めるようになり、赤ちゃんの外界を捉える視界が大きく広がってくる。今までと違う視線で空間を認知する生活が始まる。さらにお座りによって両手を自由に使えるようになるので、一人で機嫌良く遊ぶ時間も増えてくる。周りの物への興味関心がますます強まり探索行動も活発になる。またこの頃、腹ばいで前方に進んだり後ずさりもできるようになる。9ヶ月~1歳に向けて、はいはいからつかまり立ち、つたい歩き、そして一人歩きができるようになっていく。1歳を過ぎると片手を支えられて歩いたり、徐々に一人で自由に歩き回れる喜びを感じられるようになる。また、緩やかな斜面や段差を登る、降りるなどの足腰を使った活動を取り入れた遊びも楽しめるようになる。1歳3ヶ月を過ぎる頃には、低い滑り台によじ登って足から滑ることを楽しんだり、走る、くぐる、跳ぶ、ぶら下がる、押し箱を押すなど全身を使った遊びをする。また、足踏み式に階段の上り下りもできるようになってくる。1歳6ヶ月~2歳にかけて、玩具の車に乗り、足で蹴って走らせたり、体操、追いかけっこ、蹴る、投げるなど全身を使った遊びも楽しめるようなる。
手・指
・出生~3ヶ月にかけて、手と手、手と口の協応ができ始める。また、手のひらに触れた物をつかもうとする。3ヶ月~6ヶ月にかけては、親指が外側に出て、物をしっかりと握れるようになりガラガラなどの物を手のひらに載せてあげると、握っていることができるようになってくる。6ヶ月頃になると片方の手に持ち替えること、すなわち両手を連携させて使えるようになる。7~8ヶ月頃には、玩具を両手に持って打ち合わせたり、指先で小さい物をつかむことができるようになる(積み木なども親指、人差し指、中指でつかむようになる)。9ヶ月~1歳に向けて打ちつけたり、叩き合わせたりするなど、座った姿勢で両手が自由に使えるようになる。1歳を過ぎる頃には、簡単な型はめやパズルをしたり、おもしろがって物を落とすことを繰り返す。また、つまむ、ちぎる、破く、なぐり描きなどの手や指先を使った遊びも楽しめるようになってくる。1歳3ヶ月を過ぎる頃には、小さい物を指先でつまめるようになったり、握力もついてきて、積み木などを積み重ねることができるようになってくる。1歳6ヶ月~2歳に向けて、積み木を2~3個積んだり、ボタンはめ、紐通し、クレヨンを扱うなど指先を使った遊びも楽しむ。また、蓋を開ける、蛇口をひねる、シールを貼るなどの手先を操作する機能が発達してくる。
表現
□製作・絵画
・9ヶ月~1歳に向けて、クレヨンを持って左右の往復運動をし、なぐり描きが出始める。1歳3ヶ月~1歳6ヶ月頃には、なぐり描きの中でたまたま、線や点を描く姿も見られるようになる。2歳見向けて、物の性質や楽しさをじっくりと味わえるようになる。
□音楽・リトミック
・生後3ヶ月~6ヶ月の間で、保育者の歌を聴いたり、簡単な手遊びを心地良さそうに見たりする姿も見られるようになる。6ヶ月~9ヶ月にかけて音の出る玩具を持って振ったり、叩いたり、音を出したりまた、リズムに合わせて体を動かしたりする。1歳3ヶ月頃になると、保育者と一緒に歌を歌ったり、簡単な手遊びを楽しむ姿も見られるようになってくる。また、笛やラッパなども吹こうとする。1歳6ヶ月頃には、簡単なリズムに合わせて手を叩いたり、音に合わせて体を動かしたり、保育者と一緒に触れ合い遊びやわらべ歌を楽しむ。2歳に向けて、知っている歌を口ずさんだり、音楽に合わせて体を動かし、自分なりに動きを楽しむ姿も見られるようになる。また、歌や音楽に合わせて、カスタネットや鈴、音の出る手作り玩具などを鳴らして遊ぶようになる。
象徴機能
□予測
・6ヶ月頃には、いないいないばあをすると、保育者の顔が表れるのを予測し声を上げて喜ぶ。
□イメージ
・生後5ヶ月頃には、同化と調節(外界の対象に働きかける時に、その対象を自分に合うように変化せて、自分の内部に取り入れる働き⇔一方「調節」は、その対象が自分にうまく合わない時は、自分の方をその対象に合わせて修正する。例えば、子どもが昆虫は、小さくて羽があって飛ぶものと認識している場合、トンボやカブトムシは昆虫であると認識する(同化)。しかし、蟻を見ると昆虫であるが飛ばないため、子どもの認識に合わず同化ができない。だが、羽の生えた蟻は自分の持つ認識と同化できるが、羽の無い蟻は同化できないなどおかしなことになるため、自分の持つ昆虫の認識を変化させる必要がある。このように認識を変化させることを調節という。つまり、同化とは、対象を自分の持つ認識に当てはめること。子どもの行動の中で、同化の働きが優勢になるとき、遊びが出現し、調節の働きが優勢になる時、模倣が出現する。(Piaget,J.))が恣意的、無意識的に表れる。周りの保育者がすることを、極めて良く観察し、それを実際に模倣する姿も見られる。6ヶ月~9ヶ月にかけて、保育者の真似が上手になってきて、循環反応(すぐその場で真似る)が見られるようになる。1歳頃には、保育者の簡単な仕草を真似る姿も見られるようになってくる。1歳3ヶ月頃には、保育者と一緒に絵本を見て、絵をみながら保育者の言葉の真似をしたり、生活や遊びの中で、保育者のすることに興味を持ち、ままごと遊びなども見られるようになる。1歳6ヶ月頃には、ある物を他の物で見立てるなど、その後の社会性や言語の発達にとって欠かせない、象徴機能が発達してくる。2歳に向けて、モデリング(身近な大人の真似をする)をしたり、イメージしていること(記憶していることを思い出して再現すること)ができ、保育者と一緒に生活経験を取り入れた簡単なごっこ遊びを楽しめるようになる。ごっこ遊びの中で、つもり行動(お母さんになったつもりなど)を十分に経験させることによって、観察や模倣が細やかになり、イメージが豊かになっていく。
言葉
□対相手
・2,3ヶ月頃から喃語を話すようになる。3ヶ月~6ヶ月にかけて、保育者の語りかけに応答し、声を出したり応答する姿も見られるようになる。6ヶ月を過ぎる頃には、レロレロ、ブァーブァー、バッバッなどの破裂音も出てくる。また、保育者や母親をアーアーなどと呼ぶ姿も見られるようになる。1歳頃には、保育者と一緒にしぐさや喃語であいさつをしたり、身近な単語を話すようにもなる。また、1歳3ヶ月頃には、身振りで自分の思いを親しい人に伝えたり、片言で要求を言う姿も見られるようになる。1歳6ヶ月頃には、自分の名前を呼ばれると、「アーイ」「ハーイ」などと応えられるようにもなってくる。2歳に向けて、保育者の話を聞いて、言葉の最後の音だけを言ったり、言葉の所々をオウム返しに言うようになる。また、「ちょうだい」「ダメ」「嫌」などの要求語や否定語も見られるようになってくる。さらに、知っている物の名前を言おうとしたり、友だちの名前を言う姿も見られるようになってくる。
□対自分
・生後3ヶ月頃から、機嫌の良いときに一人で声を出したり、アーウーイーなどの発生が盛んになる。生後6ヶ月くらいまでの乳児は、世界中のどんな言葉の発音でも聞き分けることができる能力があるが、自分の周りにいる人の言葉を聞いているうちに、母国語にはない発音を聞き分ける能力はしだいに消えていく。6ヶ月~9ヶ月にかけて保育者の語りかけを喜び、自分でも声を出すことを楽しむ姿が見られるようになる。1歳頃には、保育者の音声やイントネーションを真似て盛んに声を出し、「パパ」「ママ」などの発語や、一語文(例えば、「ママ」と言っても、「ママが来た」や「ママがいない」などのように、実際の生活場面によって、さまざまな意味を聞き手に伝える語)も話すようになる。1歳3ヶ月頃には、保育者の繰り返しの中から身近な言葉を覚えるようになる。1歳6ヶ月頃には、片言が盛んになり、自分の要求や思いを簡単な言葉で伝えようとする。2歳に向けて、「アッチ、ココ」など代名詞が出てきたり、「ママ、オシッコ」など二語の文章が言えるようになってくる。
□絵本
・1歳頃には、絵本を指さして声を出す姿が見られるようになる。1歳3ヶ月頃には、保育者と一緒に絵本を見ながら、ゴニョゴニョと簡単な言葉を繰り返し楽しむ姿も見られるようになる。1歳6ヶ月頃になると、本の中の知っている物の絵を指して名前を言ったり、気に入った絵本などをじっと見る姿も見られるようになる。2歳頃になると、短いお話を喜んで聞いたり、繰り返しのある言葉に興味を持つ。絵本から実物をイメージすることにより、確かな認識が育っていく。