気になる子シリーズ (注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)診断基準等③

診断を支持する関連特徴
 言語、運動、または社会的発達の軽度の遅れは注意欠如・多動症に特異的ではないが、しばしばそれらを伴う。関連する特徴には、欲求不満耐性の低さ、易怒性、気分の不安定性が含まれるかもしれない。限局性学習症がない場合でさえ、学業あるいは仕事の業績がしばしば損なわれる。不注意な行動はさまざまな潜在的認知処理に関連しており、注意欠如・多動症をもつ人は注意、実行機能、または記憶の検査で認知的問題を示すものの、これらの検査は診断的指標の役割を果たすには感度、特異度において不十分である。成人期早期までに注意欠如・多動症は高い自殺企図の危険性と関連しており、それはもともと気分障害、素行症、または物質使用障害が合併する場合である。
 注意欠如・多動症の診断に用いられる生物学的指標は存在しない。同年代と比較した場合、集団として注意欠如・多動症の子ども達は、脳検査での徐波の増加、MRI検査での全能体積の減少を示し、後頭葉から前頭葉の皮質の成熟に遅れを示す可能性があるが、これらの所見は診断には役立たない。既知の遺伝的要因(例:脆弱X症候群、22q11欠損症)があるまれな症例においても、注意欠如・多動症がある場合にはこの診断が下されるべきである。

有病率
 人口調査によると、ほとんどの文化圏で、子どもの約5%および成人の約2.5%に注意欠如・多動症が生じることが示されている。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル参照