得意なこと素質を見つける

【得意なこと素質】
「気になる子」と呼ばれる子どもたちも、当然、一人ひとりが「素質」をもっており、その素質を十分に理解し、具体的な支援をすることによって、もっている持ち味を十分に発揮し「心から輝く」ことにつながると考えます。得意なことを見つけたら、それをさらに十分に経験できる人、物、空間、時間環境を保障することが大切です。子どもが好きなことで活躍できる場を用意するほか、興味のあることをもっと深く学ぶための機会を設けられるようにしましょう。

【園生活の中で】
園生活という集団の中では個別に一つひとつ伝えることが難しい場合もあります。しかし、できる限り個々の特性に応じたかかわりをすることによって、「できない」「トラブルを起こす」などの否定的な経験でなく、「できた」「こうやってやるのか」などの肯定的な経験を積んでいくことが可能になります。また、個々の状況をよく観察することで、「その場ですぐに褒める」や、「適切な対応」が可能になり、これはその後の二次障害の予防と同時に自己肯定感の育みへとつながります。社会的ルールを当て込むというのではなく、一人ひとりの興味・関心をもとに、自ら着実に学んでいけるよう支援していきます。

【臨床心理士からのコメント】
・特性に応じた個々のかかわりは非常に大切ですが、特別扱いという意識ではなく、「どの子も得意なことや素質をもっており、その子に合わせたかかわり」が大切という考え方です。「一人ひとりに合わせたかかわりをする」ということがどの子にとっても大切だということに違いはありません。また、一人の保育者や限られた保育者が気になる子の対応をするというのではなく、園全体でその子の成長やかかわりを見守り、みんなで見ていくという意識が非常に重要です。これは、人類が生き延びてきた理由の一つとして考えられる、共同養育であり、本来の子育ては、一人でするものではなく、みんなでかかわりながら、育てていくことが自然ではないでしょうか。これは「気になる子」へのかかわりだけでなく、子どもへのかかわりを考えた時に、共通する部分であり、このような環境をつくっていくことで、一人ひとりの子どもたちが、十分に好きな遊びができる環境が整うのではないでしょうか。