気になる子シリーズ ADHD(注意欠如・多動症)➁

○支援の方法
ADHDに合った支援には、次のようなものがあります。

・時間の区切りを明確にする
・1つの活動時間を短くして、場面切りかえを早くする
・その都度、本人にわかるようにすぐほめる
・静かにする場面と動く場面を繰りかえし入れる
一番効果があるのは、ほめて伸ばす、認めて伸ばすなどの肯定的な働きかけをていねいにすることです。良い行動を教え、できなくても保育者はイライラせず、おおらかな気持ちで待ちます。少しでも改善するためのそぶりを見せたら、すぐ認めてほめること、ここを繰りかえし根気よく続けます。ADHDの子どもたちは、周囲に認められたり、人の役に立つ役目を与えられる機会を増やすと、本来の豊かな才能を発揮します。
一方、強制的押しつけや力による支配、みんなと同じように静かにする、部屋にいる、などを求めすぎると、本人の心を傷つけ、自傷や他傷行為などが出現します。これらは思春期以降、あるいは成人してから、本来の障がいではない心が傷つけられることによる二次障がいを引き起こす危険性があります。

○薬について
薬を使うためには、信頼できる主治医とめぐり合うことが必要です。薬は中枢神経刺激剤を使用しますが、副作用の心配などから使うことに抵抗を感じる保護者も多いようです。薬の量や飲み方など、医療機関と綿密に連絡を取り、適切に使うことで、落ち着きなく動き回っていた子どもが、「急に音がよく聞こえるようになった」「話が分かるようになった」と話すなど、行動に良い変容が見られることがあります。信頼できる医師、保護者、保育者が連携することが薬の服用の有無や使い方を決める際には、不可欠になります。

※障害児保育ワークブック(萌文書林)参照