気になる子シリーズ (注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)診断基準等⑤

注意欠如・多動症の機能的結果
 注意欠如・多動症は学校での機能及び学業成績の低下、社会的拒絶、成人では、職場での機能、成績、出勤状況の不良さ、さらに失職の可能性が高い対人的葛藤の高さと関連する。注意欠如・多動症をもつ子どもは、注意欠如・多動症のない同年代の子どもよりも、青年期に素行症を、成人期に反社会的パーソナリティ障害を発症する可能性が有意に高く、その結果物資使用障害および受刑の可能性が上昇する。素行症または反社会的パーソナリティ障害を発症する場合は特に、それらの結果としての物質使用障害の危険性が高まる。注意欠如・多動症をもつ人は同年代の子どもよりも怪我をしやすい。注意欠如・多動症をもつ運転者では交通事故や違反がより頻回である。注意欠如・多動症をもつ人では肥満の可能性が高いかもしれない。
 持続的な努力を要する課題に対しての取り組みが不十分でばらばらであることは、しばしば他の人達からは怠惰、無責任、または非協力的と解釈されてしまう。家族関係は不調和と否定的な相互作用によって特徴づけられるかもしれない。同年代の仲間関係は、しばしばその仲間からの注意欠如・多動症をもつ人への拒絶、無視、またはいじめによって崩壊する。大きなばらつきがあるものの、平均して、注意欠如・多動症をもつ人は同年齢の仲間達に比べて就学年数が少なく、職業的成績も低く、さらにIQ得点も低い。重度の型では、この疾患が社会的、家庭的、学業/職業的適応を強く障害する。
 学業上の欠陥、学校に関連した問題、および仲間からの無視が、強い不注意症状に最も関連してみられる傾向にあるが、多動性または衝動性の著しい症状に伴って最も顕著となるのは、仲間からの拒絶と、それより頻度は少ないが、事故による外傷である。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル参照