気になる子シリーズ (注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)診断基準等➁

診断的特徴
 注意欠如・多動症の基本的特徴は、機能または発達を妨げるほどの、不注意と多動性-衝動性、またそのいずれかの持続的な様式である。不注意は、課題から気がそれること、忍耐の欠如、集中し続けることの困難、およびまとまりのないこととして、注意欠如・多動症で行動的に明らかになるが、それらは反抗や理解力の欠如のためではない。多動性は、不適切な場面での(走り回る子どもといった)過剰な運動活動性、過剰にそわそわすること、過剰にトントン叩くこと、またはしゃべりすぎることを指している。成人では、多動性は、過剰に落ち着きないこと、あるいはその活動で他人を疲れさせることによって明らかになるかもしれない。衝動性とは事前に見通しを立てることなく即座に行われる、および自分の害となる可能性の高い性急な行動(例:注意せず道に飛び出す)のことである。衝動性は、すぐに報酬を欲しがること、または満足を先延ばしにできないことに現れるかもしれない。衝動的行動は、社会的侵害(例:過剰に他人の邪魔をする)および/または長期的結果を考慮せずに重要な決定を下すこと(例:十分な情報なしに職を決める)などによって明らかになるかもしれない。
 注意欠如・多動症は小児期に発症する。いくつもの症状が12歳になる前に出現するという要件は、小児期に相当な臨床症状があることの重要性を示している。同時に、過去にさかのぼって小児期の発症を正確に証明するのは困難であるため、より早期の発症年齢は特定しない。小児期の症状を成人になってから想起することは信頼性が低い傾向にあり、補助的な情報を得ることが有益である。
 この障害の症状は複数の状況(例:家庭と学校、職場)で存在する必要がある。通常、複数の状況における実質的な症状の確認は、その状況でその人を見ていた人に情報を求めることなしには正確に行えない。通常は、与えられた状況における背景によって症状は異なる。この障害の徴候は、適切な行動に対してその人にたびたび報酬が与えられる場合、厳密な管理下にある場合、新奇な状況、特に興味のある活動に従事している場合、一貫した外的刺激がある場合(例:電子画面を介して)、または一対一の状況で対応している場合(例:診察室)、最小限または存在しないかもしれない。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル参照