レッテルと教師期待効果について

保育の中でも、「この子はこういうこだよね」「この保護者の方はこうゆう感じだよね」と思う場面ってありますよね。それを、心理の中で使われる「レッテル」と「教師期待効果」という用語を使って、探っていきます。

【レッテルと教師期待効果について】

「この子はこうゆう子だよね~」や「この保護者の方はこういう感じだよね~」などのイメージを持っていると思います。それを、ここでは「レッテル」としてとらえます。
その「レッテル」と「教師期待効果」の関係を述べます。例えば、学力テストがあったとします。Aくんの成績は、60点、Bくんの成績も60点、どちらも平均点ぐらいです。その結果について、担任の先生に「Aくんは教えれば伸びる子だよ」と伝え、「Bくんはまあ、普通かな」と伝えます。
その後、担任の先生は2人に授業でいろいろと伝えます。その際に、Aくんが問題につまずくと、「あれ、Aくんはできる子だよな、私の伝え方が悪かったかな」と担任の先生は思い、いろいろな方法を工夫してAくんが分かるようにかかわります。一方、BくんがAくんと同じ問題でつまずくと、「ああ、Bくんは普通ぐらいだから、これぐらいだろう」と担任の先生は思い、特に伝え方なども工夫せずそのままのかかわりを続けます。
1ヶ月後、再び学力テストを行うと、「Aくんは90点、Bくんは変わらず60点」という結果でした。
これが、「レッテル」と「教師期待効果」との関連性です。始めは、AくんもBくんも同じ60点でしたが、「Aくんは教えればできる子」「Bくんはまあ普通の子」と「レッテル」を貼り、担任の先生はかかわってきました。その後、再び学力テストを行うと、「Aくんは90点、Bくんは変わらず60点」という結果でした。つまり、始めに担任の先生が「この子はこういう子」と思ってかかわったことによって、その結果通りになったということです。
私たちも、「気になる子」を理解していく際に、「この子はこういう子だからしかたがないよね」とレッテルを貼ってかかわると、結果「そのような子」になるかもしれないと
いうことです。そのため、「この子はこういう子」という診断名や「レッテル」で見るのではなく、その子の「特性」を見極め、「こうすればわかりやすいのかも」や「こういうことに困っているのかも」と思い、かかわることで、その後の子どもの成長が変わるかもしれません。

【臨床心理士からのコメント】
保育の中でも、日頃の生活の中でも、「レッテル」と「教師期待効果」というような事例は思い当たるのではないでしょうか。私たちが「あの人はこうだ」とか「あの子はこうだ」と「レッテル」を貼って見るのではなく、どの人もどの子もかかわりあいによって常に変わっていく存在であることを踏まえ、いつも新鮮な目で観ることができると、かかわりも自然と変わってくるかもしれませんね。