2月の環境部会に行ってきました!!

 

〇一年間を通しての保育実践発表

・今回の環境部会では、環境部会の世話人である、井上さく子さんが園内研修としてかかわっている園での、「一年間を通しての保育実践発表」でした。当日は、多くの保育者が集まり、発表に対しての質問や、グループワークを通して理解を深めていきました。以下、概要をご紹介いたします。

 

〇0,1,2歳児クラスにおける「どこで遊んでもいいよ」の環境づくりの実現

・発表では、「以前は大きな一つの部屋を、0,1,2歳児のクラスごとにパーテーションで区切っていたが、その区切りのパーテーションを取り、子どもたちがどこでも遊べる環境に変えた」という内容がありました。パーテーションを取ったことで、以前は他のクラスには自由に遊びに行けなかった子どもたちも、今では子どもたちが自分で決めたところで、自由に好きな遊びをすることができるようになりました。パーテーションの区切りを取ったことで、職員間では、「これで本当にいいのだろうか?」や「これは放任ではないか?」という意見も出たとのことでした。しかし、その都度、誰もが自由に意見を出せるよう、あらかじめ付箋に自分の意見を書き発表するなど、個々の意見を大切にしながら話し合いを重ね、子どもたちの様子を見て環境を整えていったとのことでした。そうしたことを重ねてきた中で、「子どもたちの表情が変わった!!」「子どもたちがとても楽しそう!!」ということが職員間で共有できてきたとのことでした。また、引っかきや噛み付きもなくなり、職員も穏やかになったとのことでした。

 

〇チーム保育の実現

・「パーテーションの区切りを取ったことで、職員間の連携も変わってきた」という内容の発表もありました。職員間の会話の例を挙げると、パーテーションで区切られていた環境の際は、担当クラスでない子が遊びに来ていると「こっちに〇〇ちゃんが来てるよ~!」「すみません!!」というやりとりでした。しかし、パーテーションの区切りを取ったあとは、自分の担当クラスの子どもでなくても、そこに居る職員が、遊びに来ている子どもとかかわるようになりました。そして、職員間の会話は、「〇〇ちゃん、~して遊んで楽しそうでしたよ」「ありがとうございました!!」というやりとりに変化したとのことでした。このように、パーテーションの区切りをとったことで、職員全体で子どもを見るという、「チーム保育」を実現されているように感じました。

 

〇研修参加者からの質問

Q:一年間の実践の中で、パーテーションを取った当初は、大変だったと思いますが、その時の子どもたちの様子ははどんな感じでしたか?
A:一つの例を挙げると、パーテーションを取った際は、テーブルに乗る子などもいました。そうした際は、職員間で話し合い、テーブルは乗るところではなく、ご飯を食べたり、粘土をしたりする場所だから、そこは乗らないようにしようなど、職員間でその都度話し合い環境を整えていきました。また、以前は水を出し続けて遊んでいる子どもに対して、止めていたのを、禁止語や否定語を使わないということも実践してきたところ、いまでは水を出しっぱなしにしていた子も、自分で調節して使えるようになりました。その子は紙コップに水を入れ続けて紙コップの底が破けてしまうという経験をし、「どうしたら破けないだろうか?」と考え、厚みのある紙に変えていくということもしていました。

Q:0,1,2歳児の子どもが一緒に遊ぶと、2歳児クラスの玩具を0歳児の子が遊んだりすると思いますが、その際はどのようなかかわりをしているのでしょうか?
A:0歳児の子が2歳児の玩具で遊ぶことはあります。そのときは、2歳児の子が遊び方を教えてあげたりしています。また、上の子の遊びの様子を見て、下の子がそれをまねて遊ぶ姿も見られます。

Q:遊びの面は子どもたちが自由に過ごせるということだったのですが、食事や排泄などの生活面はどのようにしているのでしょうか?
A:食事などはほぼ同じクラスで摂っていますが、例えば1歳児クラスの子が昔を思い出してか0歳児クラスで食べたいとなれば、0歳児クラスで食事をすることもあります。排泄もそのクラスでどうするという決まりはなく、職員全体でかかわっています。また、活動を「おやつの時間だよ!!」など、職員の声かけで区切りはつけていません。おやつの時間になり、職員がおやつのワゴンを運ぶと、その音を聞いた子どもたちが自然と寄ってきて、おやつの時間となります。

Q:散歩などはどのようにしているのですか?
A:散歩などの準備は大変なので、乳児はあまり散歩に行かず園庭で主に遊んでいます。時間の区切りは特に付けず、「時間だから部屋に!!」とかではなく、十分に遊び込めるようにしています。

 

〇日本保育者未来通信として

・今回の「一年間を通しての保育実践発表」は、大変貴重な内容だと感じました。「区切っていたパーテーションを取る」という実践を通して、環境部会の世話人である井上さく子さんが言われている「21世紀型の保育」の扉を開いているような印象を受けました。パーテーションを取ったことで子どもたちの心も開き、ひいては職員間の心も開かれ、日本保育者未来通信が考える「つながる保育」をまさに実現されていると感じました。参加者の方からの質問内容は、まさしく現場で実践した際に「これはどうするんだろう?」という内容であり、全国の保育者の方がまさしく知りたい内容だったように感じました。日本保育者未来通信では、現在、全国で実践されているこのような素晴らしい保育実践の共通要素を見出しております。そして、その共通要素を実践するための、具体的な環境設定を検討しております。このような実践が全国で広がり、一人ひとりの子どもたち、そして一人ひとりの保育者が輝いて生活できることを心から願っております。