梅干し酸っぱい!!

横浜市内のシニア向けの研修の中で「子ども理解」に関する研修を行いました。その中で子どもを理解するステップとして下記の、3段階を紹介しました。

1.能力面
2.内面
3.梅干しすっぱい

 1.は能力面。これは「目に見える発達」となります。例えば身体の発達は「頭部から足部へ」という流れがあり、首が座って、お座りができるようになり、つかまり立ちから歩行の確立へといった内容になります。
 2.は内面。認知の発達や子どもの心の発達など「目に見えない発達」となります。愛着からはじまり人見知りや指差し、自我などに見られる発達に伴った認知や心の発達についてです。
 そして、3.の「梅干しすっぱい!!」は、研修の中で講師が参加者の前で“大きな梅干しを食べる”というものです。講師が梅干しを食べた後に、それを見た参加者に対して「どんな感じがしますか?」と尋ねました。「講師の表情を見て感じ方を共有できる」「自分が実際に行っていなくても、その感覚を共有できる」などの感想がありました。

 この中で「子ども理解」をする際に、1.の「目に見える発達」、2.の「目に見えない発達」ではなく、本当の子ども理解とは、3.の「梅干しすっぱい!」ではないかという話になります。つまり、私たちは日常の中で、自らの保育経験や価値観と照らし合わせて無意識的に“子どもを見る”。そして、その価値観を通して「子ども理解」をしているのではないか?しかし、そうではなく本当の「子ども理解」とは、その価値観をいったん脇に置いて、人類共通とも言うべき“身体感覚”に戻り、身体と身体を重ね合わせた状態で“子どもを観る”ことではないか。“全速力で走っている子どもが急に転んでしまった”そんな場面を見て思わずこちらも「痛い!!」と感じる。これが本当の「子ども理解」ではないか。受容や共感、寄り添うなどという言葉も、本当は自分の価値観をいったん脇に置いて、目の前の子どもと、人類共通の身体を重ね合わせるかのように感じていくことが、本当の受容や共感、寄り添いになり、「子ども理解」につながるのではないでしょうか。