保育実践Before afterボード 

東京都内の保育園にて園内研修を行いました。その中で、主に「子どもたち一人一人の生活リズム合わせた保育環境」について、参加者の方々と検討しました。ここでいう生活リズムとは、食事、排せつ、午睡などが該当します。これらを個々の生活リズムに合わせて保育を実践するためにはどのような保育環境が必要か。講師が、さまざまな園を見学させていただいた中で、“個々の生活リズムが保障されている保育環境”の共通要素を4つの環境から紹介しました。4つの環境とは、「保育実践Before after」でも扱っている「ひ・も・く・じ」となります。

1.ひ:人(人的環境:保育者の動き)
2.も:もの(物的環境:用意するもの)
3.く:空間(空間的環境:場所の使い方)
4.じ:時間(時間的環境:時間の使い方)

1.の保育者の動きは主に、保育者のかかわりや保育者の連携などとなります。
2.の用意するものは、玩具や生活用品などになります。
3.の場所の使い方は、食事のスペース、午睡のスペース、遊ぶスペースなどになります。
4.の時間の使い方は、食事の時間、午睡の時間、排泄時間、自由時間がどのように設定さ
れているかなどになります。

上記の4つの環境から“個々の生活リズムが保障されている保育環境”の共通要素は以下となります。

1.保育者の動き
「何人かの保育者が連携しながら子どもとかかわっている」

これは、「1歳児クラスだから、1歳児クラスの子どもだけを保育する」という考え方でなく、「園全体で、園の子どもたちの保育をする」という意識となります。そうすることによって、例えば2歳児クラスでもお腹が空いた子は、1歳児クラスのこと食事をしたり、逆に1歳児クラスで遅い登園でお腹が空いていない子などは、少し後に食事の時間が設定されている2歳児クラスのこと食事をするなどが日常的に見られます。

2.用意するもの
「子どもに応答的に対応できるよう、準備が整っている」

 これは、発達に会った玩具が、子どもの人数に応じて十分に揃っていること。また、例えばテーブルなども、食事の度に出し入れをするのではなく、常設されており、子どもたちは遊びたい時にそのテーブルを使って机上の遊びを楽しみ、そのまま食事の時間帯になれば、片づけをして食事のテーブルにもなります。このことによって、子どもたちのリズムに合わせて応答的に対応できるようになります。

3.場所の使い方
「食事、睡眠、排せつ(おむつ交換)のスペースが分かれている」

これは、食事の場所、睡眠の場所、排泄の場所、また遊ぶ場所が分かれていることになります。これによって、個々の子どもたちが自分のペースに応じて、思い思いの場所でゆったりと過ごすことが出来ます。

4.時間の使い方
「生活時間に幅がある」

 これは、「食事の時間は11時30分から」と決められているのではなく、例えば「食事の時間は11時30分から12時30分まで」のように幅を持って設定していることになります。これによって、おなかの空いている子は早めの時間に、食事の場所で食事をし、お腹が空いていない子は、遅めの時間で食事をします。そうすることで、おおよその食事の時間の中で、個々がおなかの空いている時間でご飯を食べ、残食などがほとんどないなどの実践が見られます。

 これらを踏まえた上で、参加者がグループに分かれ、下記の「1歳児クラスの散歩後~午睡まで」について、保育実践Before afterボードを使用し、具体的な保育環境を検討しました。その結果、生活リズムの早い小や遅い子、テーブルの位置、パーテーションの使用の仕方、ロッカーの位置などさまざまな視点から保育環境が検討されました。

〇検討された「1歳児クラスの散歩後~午睡まで」の環境構成~保育実践Before afterボードより~
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