12月の臨床育児・保育研究会に行ってきました!!

「新たな時代の保育を構想する 協同的な学びの実践を考える 若手保育者と汐見先生とのトークセッション」という内容で、2名の若手保育者が事例を発表してくれました。

 

〇事例①「大豆からできるものは」

・3,4,5歳児さんのクラスでの事例。畑で枝豆を育てていたが、枯れててしまった。枯れた枝豆を、「これは大豆だよ」と保育士が話をしていたことがきっかけとなり、「大豆から納豆ができること」に気づく子が出てきた。そこから子どもたちは「どのようにすれば納豆ができるのか?」について保育者とともにお集まりなどを通して考えていく。「納豆菌が必要?わらで納豆ができる?大豆とにがりを買いに行こう?」など場面場面で色々な話に展開し、また保護者の方からも情報を得ながら子どもたちは「納豆作り」に向かって進んでいくストーリーでした。

 

〇事例②「草花への興味や関心から」

・こちらも、3,4,5歳児さんのクラスからの事例。草花に興味を持っていた子どもたちが草花を使って色水づくりを楽しんでいた。その色水から「いい匂いがする!!」と発見。そこから話は展開し、花の匂いに興味を持ち始め、手作りの匂い枕から石鹸づくりまで話は進む。「どうやったら石鹸が作れるのか?」という子どもたちの疑問などを活動として保護者の伝えていると、保護者の中に石鹸工場で働いている方がいらっしゃっることが分かる。子どもたちは石鹸工場で聞きたいことをまとめ、いざ工場見学へ!!そして子どもたちはいい匂いのする石鹸を作ることになる。

どちらの事例に対しても、保育者の方の関わり方が素晴らしいと感じました。保育者がどこまで援助するのか、それとも子どもたちに任せるのか。このバランスによって、活動の方向性が変わってくると感じました。

2人の方の発表終了後に、汐見先生とのトークセッションが行われました。その中で、事例①については、保育の方向が理屈(知識)に向かっているのではないかというお話がありました。理屈(知識)というのは後からいくらでも学べる。だからこそこの幼児期には感性(語幹をフル活用した経験が必要なのではないか?子どもたちの気持ちに寄り添いながらも、保育者が活動のテーマを把握し、子どもたちに経験させたいことに導いていくことも必要ではないかというお話がありました。
事例②では、「匂い」という感性をベースとして活動が進んでいる。このように「いい匂い」など、感性の体験を多く増やしていくことで「もっといい匂いにするにはどうすれば良いか!!」など、子どもたちが感性をベースにして探求していく。こういった体験が大切ではないかというお話がありました。また、人類がここまで経てきたプロセスの中に「美意識」というものがあり、その「美意識(もっと美しいものをどうやって作るか?)」という感性の部分があり、それがあったからこそここまで人類がたどり着き、それが文化として継承されてきたのではないかというお話もありました。感性も含め、この人類が経てきたプロセスを短期間で丁寧に経験させていくのが「保育」ではないかというお話もありました。

日本保育者未来通信が考える、「その時期に必要な経験を十分に味あわせてあげる」に関連すると、保育者の援助する部分と、子どもたちに任せる部分を見極めながら保育していくことが本日のテーマであった「協同的な学びの実践」につながるのではないかと感じました。また汐見先生のお話の中にあった、「人類のプロセス」「感性」「美意識」というのは、改めて保育を更に深く理解し日々の保育に実践する上で大変勉強になりました。